料理

ぬか床で美味しく体調管理

哈囉〜!大家好,我是新田岳(ハロ〜!皆さんこんにちは、新田岳です)。
渡台する際に持参して、今も大事にしているものがあります。それは、我が家に120年以上も受け継がれている《ぬか(糠)床》です。幼いころから母や祖母が扱う姿を見てきた、僕にとって最も身近な発酵食品です。

ぬか床とは

普段僕たちが口にする白米とは、玄米の表面(ぬか層:外皮や胚の部分)を削り精米された状態のものを言います。そして、『ぬか床』とは削られて粉となったぬか層に塩を添加し発酵している食品のことを言います。野菜そのものの栄養に加え、ぬかに含まれるビタミンB1やビタミンE、たんぱく質や脂質、フェルラ酸、ミネラル(塩分)といった多くの栄養素を摂れるほか、植物性乳酸菌によって腸内環境を整える作用があります。

台湾に持ち込む時は

僕は台湾に入境する際に、ぬか床を持ち込むことができるのか心配になり、渡航前日に福岡検疫所福岡空港検疫所支所で確認(食品を扱う厚生労働省の管轄)をしています。日本の検疫所では『問題なし』として書類は作成されませんでしたが、他の国や地域における空港では毒性やその他の問題はなくても、検疫時に破棄されてしまうこともあるそうです。

少しずつ“ジブンの”ぬか床へ

実家のぬか床から床分(とこわけ)して貰ってから僕が始めたことは一つひとつの材料に拘ったぬか床にしたいということでした。これは母たちのぬか床の善し悪しという話ではなく、なるべく自然の状態に近く、かつ新鮮な食材を使いぬか床に内在する菌をより元気にしたいと考えたからです。
まずは、塩化カルシウムや塩化カリウム、塩化マグネシウムなど多くのミネラル分を含む国内産の天然塩を入れ、日常的に漬けるものは栄養価が落ちていない新鮮な地産の野菜を使い始めました。そして、自然農法で育てられた限りなく自然(野生)に近い状態のぬかを農家さんより直接購入し、年に2度、追糠(メンテナンス)をしていました。

自然農法で育てられた米ぬかとは?

どうして自然農法で育てられた米ぬかを使うのでしょうか?
自然農法とは、その字のごとく“農薬や除草剤を使わない”ので、農法となると生産、維持していかなくてはならないため人の手が多く掛かります。加えて、通常は使用する肥料も与えないために土壌となる田んぼだけでなく、周囲一帯の自然環境にも注意を払わなければならず、生産する農家さんにとっては非常に根気と手間が掛かる大変な農法だと言います。
その一方で、お米が本来持っている力と旨(甘)味が本当の意味で引き出されるので、食す人間だけでなく環境にとっても非常に良いものです。実際、東京で開催されてた催事会場で実践されている自然農法を実践されている農家さんと話し、ぬかを口にした時の驚きと感動は今でも忘れられません。

台湾で育つ、我が家のぬか床

そうして拘り育ててきたぬか床でしたので、台湾へ移住後に気がかりだったのは「米ぬかをどこで調達するか」ということでした。幸いにも自宅近くに〈咕穀(RICING FARM)〉さんという米屋さんを見つけ、東京在住時と同じように 無添加農薬・無肥料・無除草剤といった自然農法で育てられた 台南十六號(台灣越光米/コシヒカリ)のぬかをいただいています。
そうして1年間、少しずつ追糠してきた我が家のぬか床ですが、僕という同じ人間が触れていても香りが変わってきています。120年もの間受け継がれ、今ここ台湾で新しい空気を吸い、異なる環境で生きる菌を纏い変化するぬか床をこれからも大切にしながら、他の発酵食品も共に口にしつつ、自身の体調管理を続けていきます。

【写真:1年が経過し、香りが変わってきた我が家のぬか床】

関連記事

TOP